機能性表示食品とは?βグルカンを含む機能性表示食品の機能表示

普段、健康食品として購入している食品には「特定保健用食品」(トクホ)、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」があります。この3つはどのように区別されるのでしょうか。特に機能性表示食品にスポットを当てて説明します。

そしてβグルカンを含む機能性表示食品を例に挙げ、どのような機能性が表示されているのかを具体的に見ていきます。

特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品は、すべて食品の機能性を表示することが許されている食品で、保健機能食品と呼ばれています。

機能性表示とは「おなかの調子を整えます」などの、健康に関する働きの具体的な表示です。

特定健康食品は、健康の維持増進の効果が科学的根拠に基づいており、表示内容(効果・安全性)について国が審査し、消費者庁長官が許可した食品です。

効果や安全性に関する科学的根拠を公開する義務はありませんが、国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所で、詳細情報を確認できます。消費者庁許可のマークがあります。栄養機能食品は、1日に必要な栄養成分が不足している場合に補給したり補ったりできる食品です。

すでに効果が認められた栄養成分(5種類のミネラルと12種類のビタミン)を一定の基準含んでいれば、国の定めた表現によって機能性を表示できます。

特に届け出は必要ありません。機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠のある機能性が表示されている食品です。機能性と安全性について販売前に消費者庁長官に届け出られ、消費者庁のサイトでも情報を確認できますが、個別に審査、許可されたものではありません。

それまでは特定保健用食品、栄養機能食品だけだった機能性を表示できる食品の選択肢を増やし、消費者が正しい情報を得て自主的、合理的に食品を選べるようにしようという趣旨で機能性表示食品が生まれました。対象となるのは未成年者と妊産婦、授乳婦以外の病気にかかっていない人で、生鮮食品も含めたすべての食品に適用されます。

同時に、特定保健用食品の開発コストの高さと許可が出るまでに時間がかかるという、中小企業にとってのハードルを下げることにより多くの機能性表示食品が登場し、消費者の選択肢が広がりました。数の多さも特定保健用食品とは異なる点です。

パッケージの表には「機能性表示食品」の文字と届出番号が表示され、この番号によって健康被害や機能性の根拠に関する情報などを消費者庁のサイトから得ることができます。「届出表示」の部分に書かれているのが、食品の機能表示です。

パッケージの裏面には、1日に摂取する量の目安と摂取方法、摂取上の注意、機能性表示食品が医薬品ではない旨の表示、食品の対象者と注意点、食事のバランスに関する記述、事業者の連絡先電話番号、食品の1日当たりの摂取量の目安に対する機能性関与成分の含有量が表示されます。

機能性表示食品は多数あり、商品によって健康に対する働きも異なります。消費者は数多くの選択肢の中から、自分に合った食品を一目で選ぶことができるようになりました。パッケージの表示だけでなく消費者庁のサイトでは、「記憶力」「血糖値」などのキーワードで検索して機能性で食品を選んだり、商品名に「お茶」「チョコレート」などと入力することで、商品名に食べたい食品を含んだ機能性表示食品を探すこともできます。

デメリットとしては、東京弁護士会から「機能性表示食品制度」に対して意見書が出されています。同一の機能性関与成分を使った商品が食品安全委員会で「安全性が確認できない」と評価されたのに、機能性表示食品として届け出され受理されたという事例を基に、その運用方法に疑問を呈しています。

「特定保健用食品」と「機能性表示食品」の違いが分かりにくいことが、安全性に問題のある食品を市場に出すことにつながるのではないかとの懸念もあります。健康食品としての販売実績が1年に満たないサプリメントに対し届け出がされていることから、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」による喫食実績が、海外の食経験の考え方に比べて不十分だと指摘しています。

また、機能性の科学的根拠を示す論文の内容が緩く、客観的な査読がされていないケースもあり、科学的根拠の薄い食品が流通する可能性を示唆しています。表示の方法についても、「機能性表示食品」の表示は過度であり、消費者庁の審査を受けていない旨の表示は控えめで消費者に分かりにくくなっているといっています。

適格消費者団体による差し止め制度の対象外であり、健康被害の被害者の救済制度がないこと、健康被害が出た場合の事業者に対する公表体制が構築されていないことも問題視しています。

グルカンはブドウ糖のみが多数結合した多糖類で、炭水化物に分類されます。α型とβ型に分けられ、βグルカンは水溶性の食物繊維です。消化されずに大腸まで運ばれ、この過程で免疫作用や整腸作用によいとされる働きが発見されています。

βグルカンはマイタケやシイタケなどのキノコ類や海藻類、大麦、ゴボウなどに多く含まれています。キノコの抗アレルギー作用や免疫活性作用は古くから注目されていましたが、研究が進みこの作用はβグルカンによるものだと分かりました。

総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールを減らし、内臓脂肪面積が減少したという研究もあります。血糖値との関連性も研究されており、胃粘液の増加や食後の高血糖が抑制されたという報告もあります。βグルカンの粘度が高いほど、食後血糖値の上昇が抑えられるのではないかとみられています。

大麦のβグルカンが含まれている商品は、機能性表示食品の「ごはん」として販売されています。(血糖値の上昇をゆるやかに)「糖質の吸収を抑える」、(吸収をゆるやかにして)「血中コレステロールを低下」(させる)、(腸内の善玉菌の働きを活発に)「おなかの調子を整える」の3つの機能が報告されているとしています。

「大麦パンケーキミックス」という商品には「食後血糖値の上昇をおだやかにする」とあります。大麦の1種であるもち麦のβグルカンの機能性をうたった「もち麦ごはん」には、パッケージの前面に「食後の血糖値の上昇をおだやかにする」と書かれています。

「大麦食パン」はネットで販売されており、パッケージは確認できませんが、サイト内で「食後の血糖値の上昇をおだやかにする効果」(が報告されている)となっています。大麦のβグルカンを使った商品が目につき、結果として、ごはんもパンもパンケーキも炭水化物に分類される食品であることからか、血糖値の上昇を抑える働きを挙げている商品が多く見られました。

消費者の選択肢を増やし、正しく自主的に食品を選べるようにする目的で設けられた機能性表示食品制度ですが、制度そのものの問題点も指摘されています。事業者の責任で健康の維持増進の機能が表示されていることを踏まえて、選択肢の多さがアダにならないよう十分に情報を収集し、吟味した上で自分に必要な食品を選びましょう。