食品や飲料のメーカーにとって機能性表示食品の開発をするべきかどうかは事業展開を考える上で重要な課題です。
機能性表示食品を開発すればヒット商品になって大きな売り上げを期待できるのなら研究開発にリソースを割きたいと思うケースも多いでしょう。
この記事では機能性表示食品がヒット商品になる可能性について議論します。
機能性表示食品を開発しても売れなければ意味がないのは確かで、届出をして消費者庁に受理してもらうためのコストを考えるとヒット商品になる必要があると考えるのはもっともなことです。
機能性表示食品もかなりの数が開発されて市場に出ていますが、ヒット商品は登場しているのでしょうか。何を基にしてヒット商品と定義するかによって違いはありますが、年間10億円に到達するような機能性表示食品も登場しています。
売上高がどのくらいになるかはケースバイケースではあるものの、確かに機能性表示食品はヒットする可能性を秘めていると言えるでしょう。機能性表示食品に注目する食品メーカーや飲料メーカーが多くなってからはヒット商品が増えてきています。
自社で培ってきた研究開発の成果を生かせるのは機能性表示食品の魅力なので、大手企業やベンチャー企業を中心として機能性表示食品の開発を手掛けて莫大な売り上げを出しているのが現状です。消費者の動向としても機能性表示食品に目を向ける傾向が強まっていることが示唆されています。
機能性表示食品がヒット商品になるのには明確な理由があります。機能性関与成分について科学的根拠があり、その内容が消費者にとってわかりやすいように表示されているからです。健康や美容に対する関心が世界的に高まっている状況がありますが、日本も例外ではありません。
いつまでも健康でいたい、美しい姿でありたいという願望を持っている人が多くなり、サプリメントなどに用いるための様々な成分が見出されてきました。ただ、サプリメントなどの健康食品ではどのような人にとって魅力がある成分なのかを表示することはできません。
消費者は噂話で効果があるかもしれないと考え、買うかどうかを判断しなければなりませんでした。しかし、機能性表示食品の場合にはメーカーがこのような効果があると機能性関与成分について表示してくれています。自分の抱えてきた悩みを解決できるものだとわかると買ってみようという気持ちも生まれるでしょう。
試しに買ってみる人だけでなく、継続的に購入して摂取を続けてみようと思う人も大勢います。そのため、機能性表示食品として販売することにより大ヒット商品になるケースもよく見られています。
実際には機能性表示食品にしたからといって売れているとは限らず、到底ヒット商品とは言えないものもあります。機能性表示食品の中には販売を先に開始してしまい、後になってから届出をして機能性表示食品として販売するように切り替えたものも少なくありません。
この場合には消費者が既に摂取した経験があって、興味を持ってくれないこともあります。また、よく知られている食品がバージョンアップしたというくらいの印象を持たれてしまうこともあるのが実情です。そのため、あまり売り上げが伸びずに苦労することもあります。
また、ヒット商品にならない原因として市場のニーズに合っていないケースもあります。多数のニーズがあって悩みを解決したいというテーマを厳選していなかったために、機能性表示食品としたにもかかわらず効果が上がっていないこともあるのが実情です。
ただ、機能性表示食品は売り上げが大きい傾向が強いのは確かなので、ヒット商品にならなかったとしても利益が大きくなりやすいでしょう。
機能性表示食品を開発するためには基礎研究や臨床研究をしなければならない場合がほとんどです。ヒット商品になったとしても十分な売り上げを期待できなければ機能性表示食品として認められた意味が半減してしまいます。
研究開発を始めるかどうかを判断する上で重要なのが、研究成果が上がるかどうかだけでなく、想定売り上げがどの程度になるかを見積もっておくことです。想定売り上げは市場調査を通じて見積もるのが基本で、市場規模や消費者動向などを加味して予測を立てます。
その想定売り上げに対して研究開発費が著しく高いのであれば諦めた方が良いでしょう。研究開発にかかる費用や期間は想定するのが難しい面もありますが、仮置きで考えても十分に利益を生み出せないのなら断念するのが安全策です。
ただ、研究開発の成果はその一製品に留まるとは限りません。付随して生まれた成果に基づいて他にもいくつかの機能性表示食品を生み出せる可能性も秘めています。社内投資という考え方も加味して利益を生み出せるかを吟味し、機能性表示食品の研究開発に踏み切るかどうかを判断しましょう。
機能性表示食品を開発してヒット商品にするとブランディング効果もあることには留意しておきましょう。ヒット商品になると話題に上るようになるため、自然な形でブランディングを進めることが可能です。メディアに掲載されるだけでなく、SNSやブログなどでも取り入れられることがよくあります。
独自性が高い機能性関与成分を用いていると、ヒット商品になる以前からメディアで話題になることもあります。それがきっかけになって多くの消費者から注目され、大きなヒットにつながる可能性もあるでしょう。ブランディングに成功すると機能性表示食品のシリーズを制作して網羅的に売り上げを伸ばすことも可能です。
それぞれに同じ機能性関与成分を用いることも、別の成分を活用することもできます。コンセプトを考えてブランド戦略を立てると継続的にヒット商品を生み出せるでしょう。このような視点も持つと機能性表示食品を開発するメリットが大きくなります。
機能性表示食品を開発すればヒット商品になる可能性は十分にあります。市場調査を徹底しておこない、ニーズに合った表示が可能な機能性表示食品を開発しましょう。研究開発にはリソースが必要になるので、販売数や販売価格も考慮して検討する必要があります。
入念に考えて開発を進めればブランディング効果も得られるので前向きに検討するのが大切です。